繊細で涼しげな姿が魅力の観葉植物のアスパラガス。
お部屋に飾りたいと考えているものの、観葉植物としてのアスパラガスとは一体どんな植物なのか、また、普段食べている野菜アスパラガスとの違いは何なのか、疑問に思う方もいるかもしれません。
この記事では、観葉植物のアスパラガスの育て方について、失敗や後悔をしないためのポイントを網羅的に解説します。
どんな種類があるのかという基本情報から、室内での最適な置き場所と日当たり、成長に欠かせない肥料や土選び、植え付け・植え替えのタイミング、そして植物を枯らしてしまう原因になりがちな最適な水やりの方法まで、初心者の方に分かりやすく説明します。
さらに、可愛らしい花や実を楽しむコツや、育てている中で直面しがちな、よくあるトラブルへの対処法もご紹介。この記事を読めば、観葉植物アスパラガスとの暮らしを存分に楽しめるようになるでしょう。
本記事の内容
- 観葉植物アスパラガスの特徴と野菜との違い
- 日当たりや水やりなど基本的な育て方の全て
- 植え替えや株分けなど実践的な手入れの方法
- 葉が黄色くなるなど、よくあるトラブルの対処法
観葉植物アスパラガスの育て方|基本知識

観葉植物アスパラガスとは

観葉植物として広く親しまれているアスパラガスは、ユーラシア大陸やアフリカ大陸の乾燥した地域が原産の、キジカクシ科クサスギカズラ属に分類される植物。
その最大の魅力は、ふんわりとした繊細な葉のように見える部分ですが、これは植物学的には「偽葉(ぎよう)」または「葉状枝(ようじょうし)」と呼ばれる、枝が変化した器官になります。
本来の葉は、水分の蒸散を極力抑えるために退化し、茎の節目に小さな鱗片状やトゲ状になって残っています。これは、厳しい乾燥地帯で生き抜くための進化の結果と考えられます。
【植物の豆知識:偽葉(ぎよう)とは?】 偽葉は、葉の代わりに光合成を行うために特殊化した枝のこと。葉に比べて表面の気孔が少ないため、水分の蒸発を抑えることができます。
アスパラガスの他に、サボテンの一部やナギイカダなどにも見られる特徴です。
地面の下には水分や養分を蓄えるための、白く太い多肉質の根が発達しています。この貯蔵根のおかげで、多少の水切れにも耐えることができる強い性質を持っています。その強健さと育てやすさから、園芸初心者にも大変人気。
優しい雰囲気はどんなスタイルのインテリアにも自然に溶け込み、ハンギングバスケットで空間に立体感を出したり、他の植物との寄せ植えでアクセントとして加えたりと、幅広い楽しみ方ができるのも大きな魅力です。
野菜アスパラガスとの違い

観葉植物のアスパラガスと、私たちがスーパーマーケットなどで目にする食用の野菜アスパラガスは、同じアスパラガス属に属する近縁種ですが、品種が明確に異なります。
そのため、観葉植物として販売されている品種を収穫して食べることはできません。観賞用の品種は、食用に改良されたものと比べて筋張っており、風味も良くないためです。
観賞用として楽しむ上での最大のポイントは、品種ごとに異なる、その繊細で美しい偽葉の姿にあります。
食用のものは、地中から出てきた若い茎(若芽)の状態で収穫されますが、観賞用のものは、その茎が十分に成長し、偽葉が豊かに茂った状態を楽しみます。
レースのように細かく軽やかに広がるもの、動物の尻尾のように密集してユニークな形を作るものなど、その表情は実に多彩。
生育旺盛で非常に丈夫なため、適切な環境で管理すれば、一年を通して美しい緑を保ち続け、私たちの生活空間に癒やしと彩り、そして動きを与えてくれる貴重な存在となります。
【観賞用と食用の違い】 両者の違いをまとめました。育てる目的や楽しみ方が大きく異なります。
項目 | 観賞用 | 食用 |
主な品種 | スプレンゲリやナナス、メイリーなど | ウェルカムやガインリムなど |
楽しむ部分 | 成長して茂った偽葉や株全体の姿 | 地中から出てきた若い茎(若芽) |
食用 | 不可 | 可能 |
主な用途 | インテリアや寄せ植え | 食材 |
スプレンゲリーの魅力と他の種類

観葉植物のアスパラガスには数多くの園芸品種が存在しますが、ここでは特に人気が高く、園芸店などで手に入れやすい代表的な種類をご紹介します。それぞれの特徴を知り、お部屋の雰囲気や置きたい場所に合わせて選んでみましょう。
アスパラガス・エチオピクス ‘スプレンゲリ’
和名で「スギノハカズラ」とも呼ばれる、最もポピュラーな品種。明るい緑色のしなやかな茎が長く伸び、弓なりに垂れ下がる姿が非常に優雅です。
その美しい草姿を活かして、ハンギングバスケットで高い位置から飾るのが定番の楽しみ方。非常に強健で育てやすく、観葉植物を初めて育てる方にも自信を持っておすすめできます。
その他の代表的な品種
スプレンゲリ以外にも、それぞれに個性的な魅力を持つ品種がたくさんあります。
品種名 | 別名/和名 | 特徴 |
ミエルシー | メイリー、キツネの尾 | 偽葉が茎に密集し、動物の尻尾のようにふさふさとしたユニークな姿が特徴。茎は直立して伸びるため、単体で鉢植えにして個性的なフォルムを楽しむのがおすすめ。 |
セタケウス・ナヌス | シノブボウキ | 羽毛のように繊細で柔らかな偽葉が、水平に広がり、涼しげで清らかな印象を与えます。和風のインテリアや、他の植物との寄せ植えにもよく合います。 |
アルブス | スマイラックス | やや硬質で光沢のある偽葉を持ちます。つる性に長く伸びる性質があり、支柱に絡ませることも可能。フラワーアレンジメントの材料や、空間の間仕切りとしても利用されます。 |
ミリオクラダス | タチボウキ | 直立した太い茎から、細かい枝が箒のように水平に広がる、非常にユニークで彫刻的な樹形が特徴。モダンな空間のシンボルツリーとして存在感を放ちます。 |
室内での育成に適した置き場所

観葉植物のアスパラガスを健康的に、そして美しく育てるためには、置き場所と日当たりの管理が最も重要な要素の一つ。基本的に明るい場所を好む植物ですが、その光の質には少し注意が必要です。
理想的なのは、一年を通して室内の明るい日陰、あるいはレースカーテン越しに柔らかな光が差し込むような窓辺。夏の直射日光は、繊細な偽葉を傷つけ、葉焼け(葉が茶色く変色して枯れる現象)を引き起こす原因となるため、絶対に避けなければなりません。
一方で、光が不足しすぎると、茎と茎の間隔が不自然に長くなり、ひょろひょろとした弱々しい姿に育ってしまいます。これは「徒長(とちょう)」と呼ばれる状態で、見た目が悪くなるだけでなく、病気にもかかりやすくなります。
【置き場所のポイント】
- 最適: レースカーテン越しの窓辺、明るいリビング。
- 注意: 夏の直射日光が当たる場所、エアコンの風が直接当たる場所。
- 不向き: ほとんど光の入らない玄関やトイレ。
また、一度育てる場所を決めたら、頻繁に移動させることは避けるのが賢明です。屋外と室内を行き来させると、紫外線量の急激な変化が植物にとって大きなストレスとなり、かえって生育を妨げてしまう可能性があります。
冬場の管理も大切です。アスパラガスは寒さにあまり強くありません。夜間、窓際は外気と変わらないほど温度が下がることがあるため、部屋の中央に移動させるなど、冷気に直接当てない工夫をしましょう。
肥料・土選びと与え方

アスパラガスの健やかな成長を支えるためには、根が快適に過ごせる用土と、適切なタイミングでの栄養補給(施肥)が欠かせません。特に、過湿を嫌う性質があるため、水はけの良さを最優先に考えた土選びが、栽培を成功させるための重要な鍵となります。
用土の選び方
市販されている観葉植物用の培養土を使用するのが最も手軽で、初心者の方にはおすすめ。もしご自身で土を配合する場合は、水はけと保水性のバランスが良い配合を目指します。
例えば、「赤玉土(小粒)7:腐葉土2:軽石(小粒)1」の割合で混ぜた用土は、多くの品種に適しています。赤玉土と軽石が水はけを良くし、腐葉土が適度な保水性と栄養を供給します。
肥料の与え方
肥料を与える基本のタイミングは、植物の生育が活発になる春と秋。
- 元肥(もとごえ): 植え付けや植え替えの際に、ゆっくりと長期間効果が持続する「緩効性化成肥料」を土に混ぜ込んでおくと、その後の肥料管理が楽になります。
- 追肥(ついひ): 元肥の効果が切れてくる生育期(5月~10月頃)には、追加で肥料を与えます。
方法は2通りあり、2ヶ月に1回程度の頻度で土の上に置くタイプの固形肥料(置き肥)を施すか、あるいは2週間に1回程度のペースで、規定の倍率に正しく薄めた液体肥料を水やり代わりに与えます。
【肥料に関する注意点】 冬はアスパラガスの生育が緩慢になる休眠期にあたるため、肥料は絶対に与えないでください。
休眠期に肥料を与えると、根が養分を吸収しきれずに傷んでしまう「肥料焼け」を起こし、最悪の場合、株全体が枯れてしまう原因になります。肥料はあくまで植物の成長を助けるものであり、与えすぎは禁物です。
観葉植物アスパラガスの育て方|実践的な手入れ方法

植え付け・植え替えや株分けの適期

アスパラガスは地上部の成長だけでなく、地下の根の生育も非常に旺盛な植物。同じ鉢で長期間育て続けると、鉢の中が根でいっぱいになり、水や養分を十分に吸収できなくなる「根詰まり」という状態に陥ります。
根詰まりは、生育不良や葉の黄変など、様々なトラブルの原因となるため、定期的な植え替えが不可欠です。
植え替えの適期とサイン
植え替えに最も適した時期は、植物の生命力が最も活発になる生育期の5月から9月。この時期であれば、植え替えの際に根が多少傷ついても回復が早く、株への負担を最小限に抑えることができます。
【植え替えが必要なサイン】
- 鉢の底穴から根がはみ出してきている。
- 水やりをしても、水が土の表面に溜まり、なかなか染み込んでいかない。
- 以前に比べて、葉の色が悪くなったり、成長が鈍くなったりした。
- 鉢を持ち上げると、見た目の割に軽く感じる(土が減っている証拠)。
これらのサインが見られたら、1~2年経っていなくても植え替えを検討しましょう。
植え替えの手順
- 準備: 現在使用している鉢より一回り(直径で3cm程度)大きな鉢と、新しい用土、鉢底ネット、鉢底石を用意します。
- 株の取り出し: 鉢から株を優しく引き抜きます。根が張って抜けない場合は、鉢の縁を地面に軽くトントンと叩きつけると、土と鉢の間に隙間ができて抜きやすくなります。
- 根の整理: 取り出した株の根鉢(根と土が一体化したもの)を、手で優しく3分の1ほどほぐします。この時、黒ずんで腐っている根や、古く硬くなった根があれば、清潔なハサミで切り取って整理します。
- 植え付け: 新しい鉢の底に鉢底ネットと鉢底石を敷き、用土を少し入れます。
その上に株を置き、高さを見ながら隙間に新しい用土を丁寧に入れていきます。割り箸のような細い棒で土を突きながら入れると、根の間にまでしっかりと土が充填されます。 - 水やりと養生: 植え付けが終わったら、鉢底から透明な水が流れ出るまで、たっぷりと水を与えます。その後、1週間ほどは直射日光の当たらない明るい日陰で管理し、株を新しい環境に慣らさせます。
株分けでの増やし方
植え替えは、株を増やして楽しむ絶好の機会でもあります。鉢から抜いた株の土を丁寧に落とし、太く多肉質な根を傷つけないように注意しながら、清潔なノコギリやよく切れる包丁などで、根茎ごと2~3つに切り分けます。
あまり細かく分けすぎると、その後の生育が著しく悪くなることがあるので、欲張らずにざっくりと分けるのがコツ。切り分けた株は、それぞれ適切な大きさの鉢に植え付け、植え替え後と同様に管理します。
最適な水やり方法

観葉植物のアスパラガスは、その原産地の環境に適応し、地下の多肉質な根に水分を蓄える能力を持っています。そのため、乾燥には比較的強い反面、土が常に湿っている過湿の状態には非常に弱いという性質があります。
水のやりすぎは、根が酸素不足に陥り腐ってしまう「根腐れ」の最大の原因。根腐れを起こすと、葉が黄色く変色したり、株全体が枯れてしまったりするため、適切な水やり方法をマスターすることが、健康に育てる上で最も重要なコツと言えるでしょう。
春夏の水やり
植物の成長が活発になる春から夏にかけては、土の乾燥も早くなります。基本は、「土の表面が乾いたことを指で触って確認してから、鉢底から水が勢いよく流れ出るくらいたっぷりと与える」こと。
この「乾湿のメリハリ」が、根を健康に保つ秘訣。水やりの後、受け皿に溜まった水は、根腐れや害虫の発生源となるため、必ずすぐに捨てる習慣をつけましょう。
秋冬の水やり
気温が徐々に下がってくる秋からは、植物の成長も緩やかになり、水の必要量も減ってきます。それに合わせて、水やりの頻度も徐々に減らしていく必要があります。
冬場は、土の表面が乾いてからさらに4~5日待ってから水を与えるくらい、乾燥気味に管理するのがポイント。
【葉水(はみず)のススメ】 冬は暖房などの影響で空気が非常に乾燥しがち。土への水やりとは別に、霧吹きなどを使って葉全体に水を吹きかける「葉水」を定期的に行うことをおすすめします。
葉の乾燥を防いで生き生きとした状態を保てるだけでなく、葉の表面についたホコリを洗い流し、ハダニなどの害虫の発生を予防する効果も期待できます。
季節ごとの栽培・手入れのポイント

アスパラガスを一年を通して美しく、健康な状態で楽しむためには、日本の四季の変化に合わせたきめ細やかな管理が求められます。それぞれの季節で注意すべきポイントを理解し、適切なお手入れを心がけましょう。
春(3月~5月)
冬の休眠から目覚め、一年で最も成長が活発になる季節。
- 置き場所: レースカーテン越しの柔らかな日差しが当たる場所に置きます。
- 水やり: 土の表面が乾いたら、たっぷりと与えます。
- 肥料: 新芽が次々と伸びてくるため、液体肥料や置き肥を与えて成長をサポートします。
- 作業: 植え替えや株分け、剪定を行うのに最適な時期です。
夏(6月~8月)
高温多湿の日本の夏は、植物にとっても過酷な季節です。
- 置き場所: 強い直射日光による葉焼けを防ぐため、明るい日陰に移動させます。
- 水やり: 土が乾きやすいため、水切れに注意が必要です。朝か夕方の涼しい時間帯に、土の状態をこまめに確認して水やりをします。
- 注意点: 風通しが悪いと蒸れて病害虫が発生しやすくなるため、サーキュレーターなどで空気を循環させるのも効果的です。
秋(9月~11月)
夏の暑さが和らぎ、再び過ごしやすい気候となる秋も、春に次ぐ生育期です。
- 置き場所: 再び日当たりの良い場所に戻します。
- 水やり: 気温の低下とともに、土の乾きが遅くなるので、水やりの頻度を徐々に減らしていきます。
- 肥料: 冬越しに備えて株の体力を蓄えるため、緩効性肥料などを施します。
冬(12月~2月)
生育が鈍化し、休眠期に入ります。寒さ対策が最も重要な課題です。
- 置き場所: 最低でも5℃以上を保てる、暖かく明るい室内に取り込みます。夜間は窓際を避け、部屋の中央付近に移動させましょう。
- 水やり: 土を乾燥気味に管理するのが根腐れを防ぐ最大のポイントです。土の表面が乾いてから数日待ってから与える程度にします。
- 肥料: 肥料は一切与えません。
また、季節を問わず、茎が伸びすぎて株全体のバランスが悪くなったと感じた場合は、生育期に適宜剪定を行います。
古くなって下葉が落ち、見栄えが悪くなった茎は、思い切って根元から切り取ることで、風通しが改善され、病害虫の予防にも繋がります。
収穫はできる?

前述の通り、観葉植物として流通しているアスパラガスは食用には向いていないため、野菜のように若芽を収穫して食べる楽しみ方はありません。
しかし、株が十分に成熟し、生育環境が整うと、収穫とはまた違った形で私たちの目を楽しませてくれます。
可憐な花を咲かせるには
生育環境が良く、株が充実してくると、主に5月から7月頃にかけて、白や淡いクリーム色の、直径数ミリほどの非常に小さな花を咲かせます。
一つ一つの花は控えめですが、節ごとにたくさんの花が鈴なりに咲く様子は、まるで霞のようで、とても可憐で愛らしいです。普段の生き生きとした緑の姿とは一味違った、華やかな雰囲気を楽しむことができます。
花を咲かせるためには、まず株を大きく健康に育てることが大前提。日当たりの良い場所で管理し、生育期にはリン酸分をやや多めに含む肥料を与えることが、花付きを良くするコツです。
赤い実とタネまき
無事に花が咲き終わった後、受粉が成功すると、緑色の小さな球形の実がなります。この実は秋になると、宝石のように美しい、鮮やかな赤色に熟します。
緑の偽葉とのコントラストが美しく、クリスマスの飾り付けのようにも見え、高い観賞価値があります。
【注意:実は食べられません】 アスパラガスの赤い実は見た目が可愛らしいですが、有毒ではありませんが食用ではありません。小さなお子様やペットがいるご家庭では、誤って口にしないように十分注意してください。
この実が十分に熟したら、中のタネを取り出して増やす「実生(みしょう)」に挑戦することもできます。果肉を水で綺麗に洗い流し、湿らせた赤玉土やバーミキュライトなどの清潔な用土にまきます。
用土を乾燥させないように注意しながら、明るい日陰で管理すれば、約1ヶ月ほどで小さな芽が出てきます。タネからじっくりと育てるのも、植物栽培の大きな醍醐味の一つです。
よくあるトラブルと対策Q&A

ここでは、観葉植物のアスパラガスを育てる上で遭遇しがちな代表的なトラブルと、その具体的な対処法をQ&A形式で詳しく解説します。早めに原因を突き止め、適切に対処することが大切です。
【Q1. 葉(偽葉)が黄色くなってポロポロ落ちてしまいます。原因は何ですか?】
A1. 最も可能性が高い原因は、水のやりすぎによる「根腐れ」。土が常に湿った状態が続くと、根が酸素不足で呼吸できなくなり、水分や養分を吸収する能力を失ってしまいます。その結果、下葉から黄色く変色し、落葉が始まります。
まずは水やりの頻度を根本的に見直し、「土の表面がしっかりと乾いてから与える」という基本を徹底してください。また、受け皿に溜まった水は、その都度必ず捨てましょう。
根詰まりや長期間の肥料不足、極端な日照不足でも同様の症状が出ることがあります。
【Q2. 葉先が茶色くカサカサに枯れてしまいます。】
A2. 葉先が茶色く枯れるのは、「葉焼け」や「水切れ」、または「空気の乾燥」が主な原因です。夏の強い直射日光に当たると、人間の肌が日焼けするように、葉の組織がダメージを受けて枯れてしまいます。
すぐに直射日光の当たらない、明るい日陰に移動させてください。また、土がカラカラに乾きすぎても、根から供給される水分が不足し、先端部分から枯れてきます。
特に夏場や、鉢が小さい場合は水切れに注意が必要。冬場の暖房による空気の乾燥も原因となるため、定期的な葉水が効果的です。
【Q3. 生育期のはずなのに、元気がなく、新しい芽も出てきません。】
A3. 生育期に成長が見られない場合、鉢の中で根がぎゅうぎゅうに詰まってしまう「根詰まり」を起こしている可能性が非常に高いです。根が伸びるスペースがなくなると、新しい根を出すことができず、水や養分の吸収効率が著しく低下します。
鉢の底穴から根がはみ出していないか、土の表面が硬くなっていないかを確認し、該当する場合は、適期(5月~9月)に一回り大きな鉢に植え替えを行いましょう。
【Q4. 茎や葉の付け根に、白い綿のような塊が付着しています。】
A4. それは「カイガラムシ」という、植物の汁を吸って生育を妨げる害虫。繁殖力が強く、排泄物が原因で「すす病」などを誘発することもあります。数が少ない初期段階であれば、古い歯ブラシなどで物理的にこすり落とすか、ティッシュで丁寧に拭き取って駆除します。
大量に発生してしまった場合は、カイガラムシに効果のある市販の殺虫剤を使用してください。風通しが悪いと発生しやすいため、剪定して株内部の風通しを良くすることが、最も効果的な予防策となります。
【Q5. 葉の裏に、細かいクモの巣のようなものが張っていて、葉の色も薄くなってきた気がします。】
A5. 「ハダニ」が発生しているサインです。ハダニは非常に小さく、肉眼では確認しにくい害虫ですが、高温で乾燥した環境を好み、葉の裏に寄生して汁を吸います。被害が進むと葉緑素が抜けて、葉が白っぽくカスリ状になります。
ハダニは水に非常に弱いため、定期的に葉の裏側にもしっかりと葉水を行うことが、最も手軽で効果的な予防策。発生してしまった場合は、シャワーなどのやや強い水流で葉裏を重点的に洗い流すか、ハダニ専用の薬剤を散布して駆除しましょう。
アスパラガス(観葉植物)育て方のポイント
- 観葉植物のアスパラガスは野菜とは品種が違う
- 葉に見える部分は偽葉(ぎよう)という枝である
- 地下の根に水分を蓄えるため乾燥に強い
- 置き場所はレースカーテン越しの明るい場所が最適である
- 夏の直射日光は葉焼けの原因になるので避ける
- 土は水はけの良いものを選ぶ
- 水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと与える
- 過湿は根腐れの原因になるため水のやりすぎに注意
- 受け皿に溜まった水は必ず捨てる
- 肥料は春と秋の生育期に与える
- 冬は生育が鈍るため肥料は不要
- 1~2年に1回、5月~9月に植え替えを行う
- 植え替えの際に株分けで増やすことも可能
- 葉が黄色くなる原因の多くは水のやりすぎ
- カイガラムシやハダニなどの病害虫に注意する



